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2026年06月16日
最近話題の「ナフサ不足」。塗装業界への影響を現場目線で考えてみた
※本記事は2026年6月時点で公表されている行政機関、業界団体、メーカーの情報をもとに作成しています。
最近、SNSで「ナフサ不足によって塗装業界が大変なことになる」という投稿が大きな反響を集めています。
SNS投稿の中では、
・シンナー価格の高騰
・塗料メーカーの価格改定
・養生資材の供給不安
・建築資材の値上がり
・転売による市場混乱
などが取り上げられ、多くの現場関係者からも不安の声が寄せられています。
私たちも塗装業に携わる立場として気になったため、メーカー発表や業界団体の情報、行政機関の公開資料などを確認しながら、塗装業界への影響について考えてみました。
結論から言うと、現時点で工事そのものが止まる状況ではありません。しかし、中東情勢や原油価格の変動によって、今後の資材価格や納期に影響が出る可能性は十分にあります。
今回は「ナフサ不足とは何か」「なぜ塗装業界が影響を受けると言われているのか」「お客様への影響はあるのか」について、現場目線で解説します。
■そもそもナフサとは?
ナフサとは、原油を精製する過程で生産される石油化学製品の原料です。
一般の方にはあまり聞きなじみのない言葉かもしれませんが、私たちの生活や建設業界を支えるさまざまな製品の原料となっています。
例えば、
・プラスチック製品
・合成樹脂
・塩化ビニル製品
・接着剤
・塗料原料
・シンナー原料
・養生資材
などが挙げられます。
そのため、ナフサの供給が不安定になると、塗装業界だけでなく建設業界全体、さらには製造業や物流業にも影響が及ぶ可能性があります。
最近話題となっているホルムズ海峡を巡る中東情勢も、こうした石油化学原料の供給不安と深く関係しています。1)
■なぜ塗装業界への影響が心配されているのか
SNSでは「最初に困るのは町の塗装屋だ」という意見も見られました。
表現としては強めですが、塗装業界ならではの事情があることも事実です。
塗装工事では、
・シンナー
・各種塗料
・養生テープ
・マスキングテープ
・接着剤
・樹脂製資材
などを日常的に使用しています。
これらの多くは石油化学製品と深く関係しています。
さらに、シンナーなどの溶剤は消防法上の危険物に分類されており、一定量以上を保管する場合には設備や管理基準が求められます。2)
東京消防庁も工事現場における危険物管理について「塗料やシンナーは必要最小限の量を持ち込むようにする」と案内しています。2)
そのため、多くの塗装会社や塗料販売店では必要量を仕入れながら運用しています。
万が一供給が不安定になった場合でも、大量の在庫を確保して対応することが難しいという特徴があります。
このような背景から、現場では資材供給の動向に注目が集まっています。
■実際に起きていること
SNSではさまざまな情報が飛び交っていますが、実際にメーカーや業界団体からも価格改定や供給に関する発表が出ています。
大手塗料メーカーの日本ペイントは2026年6月出荷分より価格改定を発表しており、溶剤系塗料は25〜35%、水性塗料は20〜30%の値上げを実施しています。
さらにシンナー製品については75%の価格改定を発表しています。3)
また、日本塗装工業会は国土交通省に対して緊急要望書を提出し、シンナー・塗料・副資材の供給不安や価格高騰について支援を求めています。4)
つまり、
「何も起きていない」
わけではありません。
実際に業界では価格上昇や供給リスクへの対応が進められています。
一方で、
「業界全体が停止する」
という状況でもありません。
石油化学業界団体の発表では、多くの製品について一定の在庫水準が維持されており、供給確保に向けた対応も進められています。5)
現場としては、不安視しすぎる必要はないものの、状況を注視する必要がある段階と言えるでしょう。
■SNSで広がる不安と現場の本音
今回話題になった投稿には、多くの現場関係者からコメントが寄せられていました。
「材料が手に入りにくい」
「価格が以前よりかなり上がった」
「見積もりを出したあとに値上がりしそうで不安」
「塗料販売店の棚が以前より寂しくなっている」
こうした声を見ると、現場が将来に対して不安を感じていることは間違いありません。
特に塗装業界は材料費の影響を受けやすい業種です。
材料価格が大きく上昇すると、企業努力だけでは吸収しきれないケースもあります。
また、価格だけではなく納期の問題もあります。
工事日程が決まっていても、必要な材料の入荷が遅れれば予定通りに進められない場合があります。
そのため、多くの事業者が日々情報収集を行いながら対応しています。
■転売問題も注目されている
SNSではシンナーの高額転売に対する批判も多く見られました。
供給不安が広がると、買い占めや転売が発生しやすくなる傾向があります。
しかし、シンナーは一般的な日用品とは異なり、取り扱いに注意が必要な危険物です。
保管方法や輸送方法にも一定のルールがあり、不適切な流通は事故やトラブルにつながる可能性があります。
業界全体としても、必要な人に必要な資材が適正に供給されることが重要です。
■外壁塗装を検討している方への影響
では、お客様にはどのような影響があるのでしょうか。
現時点で考えられるのは、
・塗料価格の上昇
・工事費の上昇
・一部材料の納期遅延
・見積有効期限の短縮
などです。
特に外壁塗装や屋根塗装は材料費の占める割合も大きいため、原材料価格の変動は工事価格に影響する可能性があります。
ただし、だからといって慌てて契約する必要があるわけではありません。
まずは信頼できる施工会社へ相談し、現在の状況や見積内容について説明を受けることが大切です。
■七色が考える今後の見通し
私たちが現場で感じているのは、「すぐに工事ができなくなる」という状況ではない一方で、「何も影響がない」とも言えないということです。
中東情勢や原油価格は、日本国内だけでコントロールできる問題ではありません。
今後も資材価格の変動や一部製品の納期変化は十分考えられます。
だからこそ重要なのは、不安をあおる情報に振り回されるのではなく、正しい情報を確認しながら冷静に対応することだと考えています。
私たちも引き続きメーカーや販売店から情報収集を行いながら、お客様へ適切な情報提供ができるよう努めてまいります。
■まとめ
SNSで話題になっているナフサ不足やシンナー不足は、決して根拠のない話ではありません。
実際に原材料価格の上昇や一部資材の供給不安は発生しています。
大手メーカーによる価格改定や、業界団体による緊急要望なども公表されています。
一方で、現時点で塗装業界全体が停止するような状況ではなく、多くの企業が供給確保や代替調達を進めています。
今後は価格や納期への影響が出る可能性もあるため、外壁塗装や屋根塗装を検討している方は、最新の状況を確認しながら計画を進めることをおすすめします。
私たち七色も、現場の最前線から引き続き情報を発信していきます。
■引用・参考文献
1)資源エネルギー庁
エネルギー安全保障関連情報
https://www.enecho.meti.go.jp/category/others/energysecurity/
2)東京消防庁
工事中の防火管理について
https://www.tfd.metro.tokyo.lg.jp/lfe/office_adv/koujikanri/kanri01.html
3)日本ペイント株式会社
価格改定のお知らせ
https://www.nipponpaint.co.jp/news/20260513/534/
4)一般社団法人 日本塗装工業会
塗料・シンナー等の供給不安に関する緊急要望
https://www.nittoso.or.jp/3562/
5)石油化学工業協会
石油化学製品の供給状況について
https://www.jpca.or.jp/
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